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2008年 04月 17日
空港を出て乗り継いだ電車の窓の外には長い夕暮れ。以前と同じように野原が広がって、まだ見られないと思っていた毛玉のような子羊が草に鼻面を近づけていかにもころころとしていた。
日が暮れる頃ようやく着いた街で道に迷っていると、いつの間にか隣にいた人が「それならこの道まっすぐ行って突き当りを左」と親切に教えてくれたのだが、それに続けて「ところでちょっとお金くれない」と言い出すから「ワタシハマズシイタビノモノデス。オカネアリマセン」といったら、よく見ると前歯の一本欠けているその女の人は、足もとから頭のてっぺんまで人をまじまじと見て、納得したように去って行った。(たぶんつづく) # by wayakutaro | 2008-04-17 22:26
2008年 03月 03日
おお なんとすべては遠く
もうとっくに過ぎ去っていることだろう (リルケ) 昼前の電車、午後の学会発表の原稿をさっきからあわててノートに手書きしているが、まだ半分くらいしか終わっていない。あれもこれも書きたいと思っていたはずなのに、もうとても間にあわない。でもなんとか間に合いそうな気もするのだが。スライドの画像は家のパソコンに入れっぱなしで、スクリーンもプロジェクターも事前に連絡しわすれた。それならレジュメにしたらいいけど、手書きのレジュメは見たことがないし、ただでさえ字が汚いのに電車の中で書いているからますます読めない。いやそれより原稿が終わってないのだからレジュメの用意なんてしていられない。だいいちこの電車じゃ間に合わない気がする。あまりに焦りすぎて眠くなり、ああこれはもしかして夢なのではないかしらと思ったら、目が覚めた。 # by wayakutaro | 2008-03-03 15:51
2008年 01月 11日
ちくま文庫の「梶井基次郎全集」は注釈付きなので、「私は一度河鹿をよく見てやろうと思っていた」という「交尾(その二)」の冒頭の一行にも、この河鹿という言葉に説明がついている。そこには「カジカガエルのこと。谷川の岩間にすむ。暗褐色で、雄は美声を発する」と書いてあるが、美しい声といってもカエルなのだからそれほどでもあるまいと高をくくっていたところ、ふとネットで探してみたらあっさり聞けて、これがちょっと信じられないくらいの美声なのだ。夏の夕暮れにこの本持って河鹿の声を聞きに行ったらすごいだろう。しかし蛙のいる川には蛇もいるはずなのだが。
※あけましておめでとうございます。まだおめでたくてもいいのでしょうか? 今日は1のぞろ目です。書きものに追われバイトで走り回り更新が滞っています。ごめんなさい。 # by wayakutaro | 2008-01-11 23:59
2007年 12月 08日
日本でだったらありえないスピードで、でもこちらの人たちにはたぶん少し遅いくらいのスピードで、原稿棒読みする。いままでのどの学会よりもお客さんの数は多かったが、それでもせいぜい十数人だっただろうか、あまりあちらを見られなかったのでよく覚えていない。おそろしい質問はいっさいなく、どの人からも好意的なコメント。その教室の最後の発表者だったということもあり、自分の番がすんだらそのまま建物の外へ直行、芝生の上をうろうろすると、今日も空は晴れ渡り、空気も同じように透き通って、なにかピクニックにでも来たような気がするのだった。自分が日本の図書館のすみっこで、それから電車のすみっこで、それから公園のすみっこで、すみっこばかりだけど、そういうところでぼんやり考えたり書いたりしていたことをこんな場所でこんな人たちの前で発表しているということが不思議な感じがした。
# by wayakutaro | 2007-12-08 05:40
2007年 11月 16日
学生寮の一室に泊まる。真っ暗な窓の外にさっきの尖塔が見える。人の笑い声が聞こえてくるのはたぶん塔の周りの芝生で遊んででもいるのだろう。飛行機の中でもずいぶん寝ていたのにここでもすぐに寝てしまったらしい。朝は窓から日が昇る。昨日の夜は見えなかったが、道を挟んですぐ向かいのところに木に囲まれた庭があって、芝生の上に白い椅子とテーブルが出してあった。見たことのないようなリスがいて、さかんに木の実をかじっていた。
# by wayakutaro | 2007-11-16 21:58
2007年 10月 16日
ようやく着陸した空港から外へ出ると、青空のところどころに絵筆をくるっとまわした跡が薄い雲になって、それが少し風に流された形で中空に残り、空気は澄んで、やわらかい日差しの秋の日の午後だった。飛行機の中ではしつこく原稿を読み返して、いいかげんあきたころふと窓から下を見たらなにやら砂漠のようなところで、どこかそのあたりを三蔵法師ご一行でも歩いていそうに思えたものだが、その国ももはやはるかかなた。空港からさらに電車とバスを乗り継いだり乗り損ねたりして、目指す駅にたどり着いた頃には日本よりずっと長い夕暮れもとうに終わり、真っ暗な駅前から少し離れたところに巨大な尖塔がライトに照らされて白っぽく浮かび上がっていた。学会はそのすぐ近くの大学で開催されるのだ。(たぶんつづく)
# by wayakutaro | 2007-10-16 02:49
2007年 10月 04日
いいかげんに書いた論文が審査をパスしてた。よかった。でももう少し時間があったらもっときちんと書けたのにな、とよく言うらしい。これから学会発表の準備がふたつ。そのうちのひとつはもうすぐで旅のしたくをしないといけなくて数日忙しく歩きまわる。青空古本市もほとんど素通りしかできなかった。たしか金曜だったけど、めずらしく天気がよくて暑かった。棚を眺めてると風が吹いてああもう秋ですナと感慨にふけったものだったが。
# by wayakutaro | 2007-10-04 01:26
2007年 09月 14日
論文ほとんど書き終わる。疲れてベランダに出てたら空が急に明るくなって驚いた。雲の色がしののめっぽい。今年の夏はバイトと論文のせいで外国語をすっかりほっぽらかしたので、ギリシア語もドイツ語もふだん少し敬遠していたのが楽しそうに思えて仕方がない。今日は電車でギリシア語やろう。ロルバーンの小さめのメモ帳に活用変化書いて持ち歩くのは楽しい。たしかにギリシア語はややこしいけど、こうしてちょっとずつ覚えていけば覚えられないことはないのだ。九九と同じで。でもフランス語はなにもかも忘れた。それからイタリア語を学び始めるのはいつなんだろう?
# by wayakutaro | 2007-09-14 07:18
2007年 09月 08日
部屋では落ち着きすぎるので公園に行き、台風のあとの木の葉のかさかさしたとこを歩いて、ベンチに座り、書きかけの論文を読みかえす。締め切りが近いこともあってほとんど下向いて読んだり直したりしていたせいか、ペットボトルの水を飲むとき目の前に芝生が広がっているのが不思議な感じがした。そのあとふと思い立ってまんが喫茶兼インターネットカフェに行く。いすはふかふか、冷房も効きすぎていないし、静かだし、要するにはかどった。はかどりすぎて規定の枚数より5枚も多く書いていた。ブックオフで桂米朝『落語と私』(文春文庫)を見つけて帰った。
# by wayakutaro | 2007-09-08 03:14
2007年 08月 31日
駅を歩いていたら、かなり年配のおじいさんが二人、ばったり会ったようすをして、
「ああ」 「おぉ、いま新宿に行ってきたんだ」 と話をはじめたところにすれちがった。握手をしようと互いに手を差し伸べるところまで見えた。 涼しい日。バイトのあいまに本屋で立ち読み。ついうっかり五人づれの『五足の靴』(岩波文庫)を買う。これは九州方面の紀行文。このまえは古本屋で角川文庫の『おくのほそ道』。これも紀行文。旅に出たいのだろうか。 ※このところさぼり気味ですがこのブログを書きはじめてすでに3年が経ちました。どういうわけか続けられたのは読者の皆さまのおかげです。ありがとうございます。 # by wayakutaro | 2007-08-31 00:59
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