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2004年 10月 05日
本に線を引くことに、昔はとても抵抗があったのに、このごろはまったく気にならない。しかし線の引きかたにルールを決めていないため、あとで読み返したときに線の意味がよくわからなくてちょっと困る。そこで本棚の奥から、ずいぶん前に古本で買って読んだ藤原与一『ことばの生活のために』(講談社現代新書)を取り出してみた。著者は方言学の大家(たしか本多勝一『実戦・日本語の作文技術』(朝日文庫)にちょっと紹介があった気がするようなしないような)。この本には、著者が本を読むときにどのように線を引くか、なかなか詳しく説明してある。(以下青字は引用。174-177ページ)
私は、自分の本には、読む時に、いろいろのしるしをつけるのです。いっさい、何も書きこまない人もありますね。 しるしをつける場合のくふうを述べてみます。 自分の読みにしたがって、しるしをつけるのですから、いろいろのくふうがあってよいわけです。 私は、よく、赤と青が半々になった色鉛筆をつかいます。「ここは重要だな。」と思った所には赤です。なお注意すべきところには、青です。黒鉛筆もつかいます。時に、三色をつかいわけます。 と、ここまではいま流行り(?)の「3色ボールペン」の話に似ている(のだろうか?)。しかし黒シャープペンだけで線を引く人もいるのだ。 黒鉛筆だけをつかう時でも、私は、しるしの形をいろいろにします。単純な棒線とか、波線とか。点線(……)をつかう時は、そのところにあまり賛成しない気もち・考えの時です。大いにそこを重要視すれば、しぜん、波線(~~~)を力づよく入れます。三行も四行もがだいじな時は、上欄に一本、横線を引いたりします。そこがひじょうに重要な時は、二重線にします。本文一行について、疑問のある時は、その上欄にレをつけます。一行賛成の時は、○印をつけます。その大賛成を◎であらわしたりします。「この一行、大いに考えよ。」とか、「もすこし問題にしなくてはならない。」とか、自分に言い聞かす場合は、その行の上欄に、/のような斜線をつけます。 と、このように著者はいろいろな線や印を使いわけているのだが、これではあとで読み返したときにその線または印の意味がよくわからないのではないだろうか。というのは、線は、それがどんな種類の線であっても、基本的に強調にしか見えないと思うからだ。重要度を高めたいときは、線の種類を変えるのではなく、線の濃さを変えたほうが楽なのではないか? 印にしても、あれこれ使っても、意味がわかりづらいと思う。 たとえば疑問点などは、なにかの線や印で示そうとすると、それが何を意味するのかあとでわからなくなる恐れがあるから、単純に、線を引いて?をつける、でいいのではないか? また反論したいところには、×をつけるとか。ひとめでわかるものがいいと思う。 長い線を何行ぶんも引くのはめんどうなので、段落単位で重要なときは、上欄に一本横線、は便利でいい。 ところで著者は、キーワードやキーフレーズを、丸でくくる、ということをしないようだ。 色鉛筆をつかいわけたり、符号をつかいわけたりするのでは、読む時に、いそがしくはないか、また、読みが変になりはしないか、と、思う人があるでしょうか。私には、右のようなしごとが、けっこう、たのしいのです。そして、あとでそんなのを見ると、また、たのしくなるのです。 線や印をつける楽しさ、というのはわかる気がする。 私は、どんなものを読んでいても、いろいろに、しるしがつけたくなります。――私は、「しるしづけ」は、わるいことではないと思っています。読んで、そのことを、はっきりと、自分に言い聞かせるのが「しるしづけ」だと思っています。しるしもつける、という用意で、ものを読んだら、きっと、読みが深くなるでしょう。(――その読みが、また、書くことにも、よく生きてくるでしょう。)「しるしづけ」を、二とおりに考えたら、おもしろいのではないでしょうか。一つには、きまり符合をつかうのです。もう一つには、その場本位の自由符号をつかうのです。 その場本位の自由符号には、あとで読み返すことを考えると、賛成できない。書き込みをすることで、いくらか緊張して本を読むことになるというのは確かだと思う。しかしこのごろは緊張感がなくなってきてしまった。 著者の線の引き方に関しては、否定的なことばかり書いてしまったが、そしていまさらフォローにまわるというつもりでもないが、この本は具体的な示唆に富んだ、とてもいい本だと思う。
by wayakutaro
| 2004-10-05 02:00
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