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2007年 05月 26日
ふってわいたはしか休みを何をするでもなく過ごす。だいいち図書館が閉まっているから、調べ物もできないしあちこちから取り寄せた文献も見ることができない。けれども家に山ほど本が積んであるのだからそこから崩していったらいいのだ。1週間ではとても読み切れないだろう。
バイトに行く途中、公園の横を通ったら、芝生がいかにも青々としていて、このままここに自転車乗り捨ててなにもかもすっぽらかして寝転がってやろうとあやうく思いかけた。 私は夕方、青田の中の径を横切って、八幡川の堤の方へ降りて行った。浅い流れの小川であったが、水は澄んでいて、岩の上には黒とんぼが翅を休めていた。私はシャツの儘水に浸ると、大きな息をついた。頭をめぐらせば、低い山脈が静かに黄昏の色を吸収しているし、遠くの山の頂は日の光に射られてキラキラと輝いている。これはまるで嘘のような景色であった。もう空襲のおそれもなかったし、今こそ大空は深い静謐を湛えているのだ。ふと、私はあの原子爆弾の一撃からこの地上に新しく墜落して来た人間のような気持がするのであった。(原民喜「廃墟から」)
by wayakutaro
| 2007-05-26 23:47
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